今日の新聞の社会面は「偽装」の文字で埋め尽くされた感じで嫌な気分になる。食品企業の偽装事件に加え、またまた耐震偽装問題である。食品企業の偽装もまた「ミートホープ」「赤福」そして「比内地鶏」と立て続けに発覚した。食品企業に勤務したことのある私としては全く残念でならない。こうした事例が後を絶たないのは一体どういうことなのかと考えてしまう。
これまでの偽装事件はほとんど企業の組織ぐるみで行われている。偽装である以上、組織ぐるみで行うしかないから当然であろう。その組織ぐるみであるにも関わらず、そのことが長いこと改善や中止されないで続けられてきたということはこの問題の根の深さを感じる。即ち、一度不正行為に手を染めると途中でもとの正常な状態に戻すことがいかに難しいものであるかを示しているように思う。とりわけ食品企業は中小零細企業が多く利益率の低い薄利多売の業種である。まして最近は小売業のいわゆるバイイングパワーが強まり、中小のメーカーは経営が厳しくなる一方である。その中で「安全でよい品をより安く」として多くの食品企業が必死の努力をしているのである。
食品企業の現実を知るが由にこうした消費者をあざむくような偽装行為を行う様な企業が後を絶たない現状に、個別企業の問題として捉えるだけでなく食品産業全体の問題と捉え業界として抜本的なメスを入れる必要があるのではないかと思う。