いま話題のテロ特措法に関する、いわゆる我国の給油活動への謝意が述べられたとする国連決議の原文を確認してみた。先月9月19日の第5744回安全保障理事会で採択された決議第1776号のことである。
政府与党がインド洋上における給油活動を何としても継続すべきとしている大きな理由に、国連でも謝意が述べられたとしているものである。しかしその決議文に実は「日本」という言葉がないということを報道で知り、確かめてみたかったものである。確かにどこにもない。「Japan」も「海上給油」もその決議文の中にはないのである。多分この文言を政府が”日本の給油活動へ”感謝の言葉が入ったと強弁しているお思われる文は・・・
「NATOにより発揮されたリーダーシップ及び海上阻止行動(OEF-MIO)を含む国際治安支援活動(ISAF)と「不朽の自由」作戦(OEF)連合への多くの国々の貢献に対して感謝の意を表明する」
・・・というものである。
少なくとも当時の与謝野官房長官は胸をはって「我国の給油活動が国際的な評価を受けた。安保理メンバーから極めて高い評価を受けた。」と述べたものである。各マスコミはこぞってそのことを報じたことは記憶に新しい。
この官房長官の発言やマスコミの報道を聞いたり読んだりした人は、少なくともその決議文の中に、日本という具体名を挙げて謝意が述べられたと思うのが普通である。私もそう思った。ところが事実はそうではなかったのである。
2年半前官房長官だった福田総理もまた当時、我国の海上自衛艦の補給艦「ときわ」からその後、給油を受けた米空母キティーホークへの給油量を20万ガロンだから、イラク戦争への流用はないとしたものを結局80万ガロンだったことをNPOからの調査から指摘を受けて初めて認めた。しかもインプットミスだとした。
こうしたことを”些細な事”という人がいる。しかし私はこれは国民をあまりにも馬鹿にした話であると思う。かつての大本営発表や「民は由らしむべし 知らしむべからず」というような相変わらず国民を愚弄した態度に心底怒りを覚えるのである。