今日は朝から雨模様で梅雨らしい天気である。
子どものころはこの梅雨の時期になると、家の近くの川があふれ道路が水浸しになり、水田も水であふれることがよくあった。
雨が降りつづき外で遊べず部屋の中から裏庭に雨にぬれて美しく咲いたあじさいをよくながめたものである。
この季節はうっとおしさもあるが、しとしとと降る雨に緑が美しく映える風景を眺めるのも好きである。
そしてこの季節になると思い出す詩がある。三好達治の詩である。
母よ 淡くかなしきもののふるなり
あじさいいろのもののふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと風のふくなり
・・・ ・・・ ・・・
と続く「乳母車」という詩である。
高校生の時、はじめてこの詩に出会った時
降る雨を「あじさいいろのもののふるなり」という表現がどうしてできるのだろうと、その感性に「うーん」と感動したものである。
この詩に出会ってから、この梅雨の季節も好きになったような気がする。
今日も雨にぬれて黒く光る幹と枝、一層緑を深めた木々の美しさにほっと一息ついた。