今日はおだやかな秋の日よりである。
久しぶりに一日地元である。
午前中に幸区にある川崎市立南加瀬中学校の創立50周年記念式典に出席した。
昭和35年4月1日に日吉中学校から分離独立したのだという。
ちょうど私が中学生になった頃である。
私の卒業した中学校は今は残念ながらなくなってしまっている。
その中学時代を想い起こしながら、式典に出席した。
式典は型どおり進んでいった。式次第の最後に生徒発表ということになった。
式典に参加している3年生全員による合唱も見事だったが、何といってもその生徒の中から15人が前に出て、1人1人約2~3分のスピーチが素晴らしく感動であった。
スピーチする生徒も聞く私たちや父兄、先生をはじめ会場全体が感動に包まれた。
15人それぞれ南加瀬中学での3年間の体験の中から、先生や友人との出会い、励ましがどんなに支えになったかなど素直に具体的に思いを込めた発表であった。
聞いていて学校生活での先生の存在の大きさを改めて実感した。
式典が終わった後、校長先生に「素晴らしいスピーチに感動しました。本当の式典でしたね」といったら、目を真っ赤にして「ありがとうございます。中には少々心配だった男の子がいたんですが、是非発表したいといったんでやらせたんです」といって声を詰まらせた。
久しぶりに感動的な形式ではない本物の式典であった。
この雰囲気と今の殺伐とした国会とがあまりにも対照的で悲しい位である。
今のお互いの足の引っ張り合いだけの国会がなげかわしいし、この中学生たちに恥ずかしい気持ちになった。
そして、金子みすずの犬という詩を思い出した。
うちのだりあの咲いた日に
酒屋のクロは死にました
おもてであそぶわたしらを
いつでもおこるおばさんが
おろおろ泣いておりました
その日、学校でそのことを
おもしろそうに話してて
ふっとさみしくなりました。
常にこんな心を忘れずにいたいものである。