胸が痛む。海外のとりわけ治安の悪い地域での安全対策の重要性と難しさを実感した。
私も味の素の社員時代に当時世界でもっとも凶悪なテロ集団といわれていた「センデロルミノソ」が恐れられていたペルーを訪れたことがある。
滞在した3日間で日本人駐在員のみなさんがいかに緊張した中で働き生活をしているのか実感したことを今でもはっきりと覚えている。
今回犠牲となられた10人の方々に心から哀悼の意を表したい。
国内政治では「アベノミックス」という表現が目につく。その1つとして金融緩和を目玉とした日銀と政府との「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政策連携について」の共同声明がある。
物価上昇2%を目標とする点については大変危惧の念をもっている。
あのバブル時代も含め、もう長年我が国では物価が2%上昇したことはない。その2%を目標とすることが本当に良いことであるのか大いに疑問である。
結果としてハイパーインフレ、そして高金利にならないとも限らない。
このこと以上に私が問題だと思うのは日銀の独立性への懸念である。
今回の共同声明に到るまでの政治(政府与党)が日銀へ「我々のいうことを聞かなければ日銀法改正も辞さない」という脅しをかけ続けたのである。
日銀はその政治の恫喝に屈したというイメージが国内外に広がったことは事実である。
「日銀は圧力をかければいいのだ」というメッセージを発してしまったと思う。
浜矩子さんは毎日新聞でこのことについて悪徳商法で、かつ恫喝商法でありタチが悪いと断言していた。
私もほぼ同感である。
そんな思いの中、以前著者の松本崇さんご本人からいただいた「大恐慌を駆け抜けた男、高橋是清」をあらためて読んだ。
明治政府以降、多くの先輩たちが近代国家日本の建設に向けて苦闘されてきたか。とりわけ厳しいデフレをどうやって脱却するか。それこそ血のにじむような苦難の日々があったことを学ばしてもらった。
現在のデフレなんてものではない厳しい時代を先人たちは超えてきている。
今を生きる我々はまだまだ甘いなと思った。