いま、世界で最も脅威は「イスラム国」と「エボラ出血熱」であろう。どちらも急速にその脅威が拡大し国連やアメリカ中心に国際的連携での対応が始まった。
私は、この二つの脅威に共通するのは、その根本原因の一つに「グローバル化」があるのではないかと思う。グローバル化には光と影があるがその影の部分である。
即ち、とりわけ経済のグローバル化により、世界のすみずみまで開発が進む一方で貧富の差が拡大し貧困にあえぐ人々が増大している。この事が根本原因の一つだと思う。
エボラ出血熱はコウモリがウィールスの宿主だそうだ。発生源のアフリカの森林などの開発が急速に進み宿主のコウモリと接触する人や機会が一気に増えてきたといわれている。エボラだけでなくエイズ、鳥インフルエンザ、BSEなど近年の重度な感染症は殆ど動物由来のものであることも重要な点である。
「イスラム国」についても、タリバン、アルカイダ、ヒスボラなど次々と新たなイスラム過激派が誕生し勢力拡大している。この背景には貧困や不条理な格差の拡大もあるのではないかと思う。
先ごろ日本でもシリアでの「イスラム国」の戦闘に参加しようとした大学生の事が報道され驚いた。彼の動機は今一つ定かではないが「どうせ日本にいても1~2年のうちに自殺しただろう」という発言に「無敵の人」という言葉を思い出した。
今年3月あの「黒子のバスケ」をめぐる脅迫事件の渡辺被告が初公判の冒頭陳述で自らの事を「無敵の人」と表現して有名になった言葉である。彼は「自分のように人間関係も社会的地位もなく失うものが何もないから罪を犯すことに心理的抵抗のない人間を『無敵の人』とネットスラングでは表現する。これからの日本社会はこの『無敵の人』が増えこそすれ減りはしません」と述べた。
そして格差社会を人生格差社会と表現し、将来に希望を見いだせず、人生のやり直しや逆転も不可能だと悟ったと述べた。
2008年の秋葉原の無差別殺傷事件も同様の背景であった。
日本も含め今や世界的視点でこうしたいわば不条理的社会構造と思われることに真正面から向きあうことが二つの脅威の本質的解決には極めて重要だと思う。