今、自民党総裁選が行われている。
本来は国会が開会され、それこそ真剣な論議が展開されているはずであるにもかかわらず国会は閉じたままである。いわゆる政治的空白の状況が続いており由々しき問題である。
TVで流れるこの総裁選の光景を観ているとまるで一瞬のうちに消えてしまう“夏の花火大会“のように思えてならない。
一方で地元の川崎では6月につづいて先日もまた、93歳と87歳の老夫婦の介護疲れによる悲劇がおこった。この老老介護の悲劇はあまりにもいたましい。しかしこうした悲劇もまた今の社会の現実の姿でもある。
このような社会の現実を直視すればなおさらこの総裁選という政治的お祭り騒ぎは、浮世離れしたものにしか見えてこない。
その総裁選の原因となった安倍総理の辞任でふっと思い出した人がいる。
『萱野茂』さんである。昨年79歳で亡くなられたが、ご自身アイヌ民族でありアイヌ文化研究者であった。後に4年間だけ参議院議員を務められた。
その萱野さんがわずか4年で議員の引退を決意された時、「まだ引退は早いのではないか。せめてもう一期!」という声に対して・・・
「アイヌ民族は足元が明るいうちに村に帰るものです」という主旨の言葉を残して政界を引退されたと記憶している。
何とみごとな言葉なのか、身の処し方なのかと感銘を受けたことを覚えている。
安倍総理もこの夏の参議院選挙直後の辞任であれば、それこそ足元にわずかながらも明るさが残った辞任となり、ご本人のみならず国民にとってもよかったのではないかな・・・と思う。