毎週木曜日の朝はJR川崎駅東口での駅頭活動をしている。
いつも川崎区選出の市議会議員の飯塚さん、西さん、そして今年で引退された栄居さん達と一緒の活動である。
そんな活動をしていて朝から激励してくれる人に出会うと本当にうれしいし、元気が出てくる。
先日いつもの様にマイクを握って国政報告をしていた私に50歳代と思われる男性がゆっくり歩きながら近づいてきた。
一見してサラリーマンではなくいわゆる日雇い労働をしている様な感じであった。にこやかに笑みを浮かべた顔で近づいてきて・・・『元気で頑張ってよ!これ俺の気持ち!』と言って500円玉を私に渡そうとした。
驚いた私は「えっ!ありがとうございます。でもお気持ちだけでありがたいことです」と言って受け取ろうとしなかった。しかし彼は『そういわず、俺の気持ちなんだから!遠慮せず受け取ってくれよ。とにかく頑張ってくれ!』と言って力強く私に500円玉を渡した。それまで握り締めていたためだろう500円玉には温かいぬくもりがあった・・・。
こうしたやりとりのあと私は「ありがとうございます」と言って受け取った。
彼はにっこり笑いながら静かに立ち去っていった。何ともいえないあたたかさが伝わってくる献金であった。彼の後ろ姿を見つめながら、最近読んだ「最底辺」(ちくま新書)の一部を思い出した。
著者は大学在学中から釜ヶ崎に通い、現在自ら日雇い労働をしながら日雇い労働者の支援活動を続けている。その本に述べられているホームレス(著者は野宿者という)や日雇い労働者の実態は実に衝撃的なものである。これが経済大国日本の現実の姿なのかとつくづく考えさせられる。その本の中でも印象的なひとつに著者が体験した釜ヶ崎での、全く見知らぬ日雇い労働者との出会いが興味深い。そして著者はこう述べている。
「その人は何というか天から降ってきたような優しい人だったが、こうした優しさは釜ヶ崎の労働者にたびたび感じるものだった。そしてその優しさは世の中で下積みの苦労を重ねた人だけが時として見せるものだったのかもしれない・・・」
この著者の実感を私も朝の川崎駅で体験したのである。
これこそ本当の献金だな・・・としみじみ思った。