年金問題が再び浮上した。
宙に浮いた年金記録5000万件の照合を来年3月までに完了するとした、この夏の参議院選挙での自民党の公約が事実上破綻したことによる。
約半年前、当時の安倍首相は「最後のお一人に至るまで記録をチェックし、保険料を払っていただいた方々にお支払いする」と訴え、その後福田首相も安倍政権の約束はそのまま引き継ぐことを明言していた。
舛添大臣に至っては「最後のお一人、最後の1円までお支払いする」と大見得をきったことは記憶に新しい。
ところが事実上全面解決を断念した途端に町村官房長官は「選挙中なので簡素化して言った」と発言。極め付きは「公約違反というほど大げさなものなのかどうか」という首相発言である。
しかも首相は本日の国会審議で「自民党の公約がどういうものかよく理解していなかった」とまでいい切った。
参議院選挙の最大の争点になっていた年金について、自分の党の公約をよく知らなかったという。
新人候補者でも理解しておくべき基本中の基本の話である。
あまりにも私たち国民や有権者を馬鹿にした発言である。
そういえば3年前も年金問題で国会が揺れた。
当時私は民主党の年金問題の責任者であった。
その時の政府提出の「年金改革法案」は法案の中味も大いに問題であったが私はそれ以上に提案している政府の大臣の中に、本来義務として納めるべき国民年金の保険料を払っていない大臣がいることに心底怒った。
私はTVのインタヴューで「この政府は悪代官ばかりだ」と発言した。
この表現が当時大いに注目を浴びた。
国民には保険料負担増そして納付率は下げるということを押し付けておいて、自分は全く痛みを負うことをしない大臣らの姿が私には悪代官として写ったのである。
従って、国民の怒りの全てを自分が背負う位の気持ちで、年金法案の廃案に向け徹底した戦いを国会で展開したものである。
今思い出しても少し胸が熱くなってくる。
当時の中川昭一大臣などは議員になって一度も保険料を払っていなかった。
そして実は当時の福田官房長官に狙いを定めていた。
内閣の要の官房長官が保険料未納ならば、これはもう間違いなく年金法案は廃案にできると確信していたからである。
従って、徹底的に追求した。
緊張感ある国会が続いた。
そして突然与党は私の狙いを察知したかの如く、厚生労働委員会で強行採決を行った。
さらにその日の夕方、福田官房長官は自ら年金保険料未納を認め、これまた突然辞任をした。
一瞬の出来事であった。
今あらためて福田首相、町村官房長官や舛添大臣の発言を聞くと、国民にだけ痛みを負わせながら自らは涼しい顔をしている悪代官の政府は少しも変わっていないなとつくづく思う。