派遣社員をはじめとした非正規労働者の雇用問題が一気に深刻な状況になってきた。
この雇用問題の深刻化をうけて私にマスコミからの取材が急に増えてきた。
昨日も大阪の朝日放送から約1時間にわたってTV取材を受けた。
現在の労働者派遣法が国会で審議されたのは2003年の通常国会であった。
当時私は民主党の次の内閣の「雇用担当大臣」として民主党の雇用政策の責任者をしていた。そして、その国会で、派遣法の問題点を厳しく指摘しつづけ法案の撤回を強く求めた。
その時にまず厳しく指摘した一つが先週のブログに書いた点である。
即ちこの法案作成に至るいかがわしさである。この法律を作るように提言した総合規制改革会議の委員による、自分達の自己利益誘導そのものであるということであった。
そして2点目は、グローバル化時代における労働力の流動化が必要という名目による”労働の商品化”を狙ったものであるという点であった。
私は国会で小泉総理大臣、坂口厚生労働大臣に何度も何度も「労働は商品ではない」「働く勤労者には人生があり家庭があるのだ、労働の尊厳なくして企業の真の成長もない」とくり返し迫った。
ところがこの一連の私の国会での主張に対し、当時の総合規制改革会議の委員であり現在も政府の経済財政諮問会議の委員である八代尚宏教授は「いまどき労働の尊厳などということを主張している国会議員がいる」といって私を批判した。
しかし、この派遣法はどこから検証しても使用者の「働かせる側の自由」だけが一方的に拡大するものの、一方働く勤労者の「働く側の自由と権利」は全く考慮されていないどころか、縮小したものであった。
即ち、使用者からすれば使い勝手のよい雇用が増えるだけで、働く勤労者からすると自ら主体的に派遣労働を選択できるものになっていない点を厳しく指摘したものである。
その結果「正社員から派遣社員への代替がおこる可能性が大きい」という私の指摘に対して大臣は「そうした代替はおこりえない。派遣社員が増えても20万人程度であり、城島さんの不安や危惧は不用です」と答えたものである。
しかし今や321万人に達した派遣社員。その人数はダントツの世界一である。そして派遣社員は正社員の代替として、かつ雇用の調整弁と位置づけられてしまっている。
この問題の本質的な解決には何といってもヨーロッパで一般的になっている正社員と非正社員の均等処遇の徹底を図ることである。
そして「労働は商品ではない」という「労働の尊厳、働くことの誇り」に裏うちされた雇用政策へ転換を早急に図ることである。