ここ2日間、子ども手当についての新聞やTVのニュースの報道はひどいものだ。
「子供手当て廃止」「来年度からの児童手当復活」という表現がおどっている。
長いこと民主・自民・公明三党の実務者協議を、子育て世代の方々の状況に思いをはせながら誠心誠意行ってきた私からすると、こうした誤った報道には憤りを覚える。
かなり意図的な感じさえする。
少なくとも「元の児童手当」に戻らないようにするために三党協議をしてきたのである!
逆に来年度からは恒久法としての新しい子供手当てがスタートするというのが本当のところである。
今朝、党の会議で三党合意の経過と内容について民主党議員に報告をした。
出席議員全員報告を聞いて、マスコミ報道による誤解がとけ会議終了時には拍手がわいたほどであった。
厳しい三党実務者協議の苦労が報われたと感じた。
以下、民主党議員に配布した説明文を参考として記載いたします。
あらためて国民の皆様にもメッセージを出したいと思います。
2011年8月5日
「子ども手当」にかかわる3党合意について
民主党政策調査会長
玄葉光一郎
8月4日に自民党・公明党との間で「子どもに対する手当の制度のあり方について」合意を致しました。ここに至るまでの間、党内で真摯な議論が行われ、また皆様からご協力を頂いたことに深く感謝を申し上げます。合意について、若干の誤解も見受けられますので、そのポイントをご説明いたします。
理念は全く変わっていない
「子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する」という「子ども手当」の理念は全く変わっていません。具体的には「従来に比べて、子育て支援策を大幅に拡充すること」「すべての子どもの育ちを支援すること」ですが、今回の合意においても
●給付の対象は中学生までのすべての子どもとする
●子どものための現金給付の規模は、従来の児童手当(約1兆円)に比べて倍増(2.2~2.3兆円)している
●個々の給付額で比べても、相当程度拡充する
●高所得者世帯であっても財政上、税制上の措置を講じる
など、理念に沿った合意となっています。
来年度以降は「恒久的な子ども手当」へ
今回の合意は「子ども手当廃止・児童手当復活」という報道がありますが、これは全くの誤りです。まず、今年度については「子ども手当」が継続して給付されます(ただし、10月分より給付額は3党合意に基づき変更)。
また、来年度以降は、これまでの単年度限りの制度から、恒久制度に移行します。この移行にあたって、
●法作成上は、恒久法である「児童手当法」の改正で対応しますが、
●手当額等の内容については3党合意による「H23年度子ども手当特別措置法」の規定を基とする
ことで合意しています。現在の「子ども手当」は、法律上「児童手当」の上に「子ども手当法」が乗る2階建ての構造となっています。恒久制度への移行に伴い根拠法を一本化するに当たり、法律としては恒久法である「児童手当」の改正で対応しつつ中身は「子ども手当」としていくこと、すなわち児童手当法を使って、新しい子ども手当をつくるイメージです。
また手当の名称についても、口頭ではありますが「別途検討」とすることで合意しています。その意味では、恒久制度の名称を「子ども手当」とすることを、今後も求めてまいります。
「所得制限」世帯にも一定の給付
恒久制度への移行にあたり、「所得制限」を設けることで合意をしていますが、これも自公政権時代の児童手当における「所得制限」とは異なり、基準額を超える世帯にも「必要な税制上(=税額控除)、財政上(=手当の給付)を措置」を講じることで合意をしています。すなわち、高所得世帯であっても給付(あるいは税額控除)が全く無いということではなく、すべての子どもの育ちを支援する観点から、一定の給付を行うこととしています。民主党が従来から主張してきた「控除から手当へ」に沿った形となっています。
政権交代によって、「子ども手当」の創設、高校無償化をはじめとする子どもの育ち、子育て支援に関する政策に光があたり、大幅に拡充されたことは間違いありません。この理念、方向性は決して誤っておらず、出生率の上昇や経済的理由による高校中退者の大幅減といった成果を踏まえ、引き続き、民主党として更なる拡充に自信をもって取り組んでいくべきだと考えています。
一方で、東日本大震災によって復興財源の確保が必要となること、さらには「ねじれ国会」という、民主党にとっては極めて厳しい状況の中で、このまま放置すれば、本年10月には「元の児童手当」に戻ってしまうという現実から目を背けるわけにはいきません。政権与党として、国民との契約であるマニフェストの実現に全力を挙げつつも、現実に即した判断をしていくことは当然だと考えています。また、子ども政策をこれ以上政争の具にしてはならないとの思いから、苦渋の決断を致しました。
来年度以降の恒久制度については、今後、年末までに細部を詰め、法案を作成していく必要があります。より良い制度を作っていくため、皆様の一層のご協力をお願いいたします。
以上