昨年の8月10日参議院で消費税増税法案が成立して1年経った。1年前の夏は私にとってはまさしく熱い夏であった。当時のさまざまな出来事をいまも鮮明に思い出すことができる。
先日「消費税 政と官との10年戦争」と題した本が著者の清水真人さんから送られてきた。私も今年の4月1日にインタビューに応じた本である。丹念に多くの人へのインタビューに加え徹底した調査に基づいた力作である。私もできる限り正確に丁寧に応えたつもりである。もちろんまだどうしても語れないこともないわけでないが、この本の本旨には関係ないものである。当時、国会対策委員長として大変苦労した事の一つに党内の不信や対立があった。とりわけ消費税増税反対の世論が強い中、地元に戻ればそれこそ罵声をあびる日々の1回生議員の不安感はものすごいものがあった。また野党はそうした揺れ動く民主党の分裂を狙って様々な国会対応をしかけてきた。そこで私は党内一体化のためにも1回生議員全員と2回にわたって数多くの会食をしながらの懇談会を開いた。そしてこの本の中でも述べているが6月15日の政府・民主3役会議で私は自民党との2党合意で進むという強い意見に対し、まさに国対委員長の職を賭けて反対した。何としても公明党も含めた3党の合意を目指すべきと強く主張した。それはこうした国民生活に極めて大きな影響を与える重要政策は与党の民主党と長く政権を担ってきた自民党、公明党の3党の責任政党が共に背負う政治が求められていると思っていたからである。本ではこの会議の場所が官邸となっているが正確には国会内の総理大臣室である。そして急展開で私の主張した3党合意に至った。結果的には、この3党合意であったから消費税法案は成立したと思っている。もし公明党ぬきの自民党との2党だけであったとしたら終盤国会において自民党内の法案を潰しても内閣不信任案を出し解散に追い込むべきとの意見を抑えることが出来ず3党党首会談もふくめ法案成立は多分実現しなかったものと思う。私はもともと消費税増税賛成の立場であるがそれにしても民主党の払った代償は大きかった。であるがゆえに将来の世代のためにも増税分は全て社会保障の維持、充実に充てられなければならないし、増税と更に昨年の解散の条件でもあった議員定数削減が依然道筋すらみえていないのは問題である。
私もインタビューに応じ清水氏からいただいた本
~消費税 政と官の「十年戦争」~