今週も新年会が毎日続いている。その新年会でもちょっと時間があればいろんな人に景気感を聞くようにしている。と言うのもマスコミ報道は“アベノミクス効果で景気回復”との見出しがこれまで以上に連日目につくからである。政府、日銀の最新の景気判断も「景気は回復している」と上方修正されたばかりである。そこでいろんな人に、また例えばタクシーに乗ると運転手さんに必ず「景気どうですか?よくなっていますか」と尋ねる。しかし私が尋ねる限り、タクシー運転手さん、地元企業経営者、飲食店関係者などほぼ全員が「景気は全然よくなっていないよ」、中には「25年この仕事をしているが今までで一番厳しくなっているよ」と言う人すらいる。どうしてこうも違うのか!政府、日銀、マスコミ報道とあまりにも差が大きい。もちろん経営者の中には「おかげさまで景気よくなっているよ」と言う人もいるが極めて少数である。どちらが正しいのか?おそらく円安メリットや四月の消費税増税前の駆け込み需要効果をしっかり受けている企業を除けば金融緩和の効果、恩恵は依然限られたものになっているのだと思う。私の皮膚感覚では、実態経済はまだまだ厳しい状況だと思う。
だからこそ今年の春闘は極めて重要である。実質賃金の維持でなく少なくとも向上でなければならない。ほぼ10年以上我が国の春闘ではベアゼロであった。しかしデフレ下で物価が下落していたから、ベアがなくとも定昇のみでも実質賃金は確保されていたのである。とすると今年の春闘が賃上げが実施されても定昇プラス物価上昇以下の水準ならば実質賃金維持ができず今までより厳しい賃金水準になり安倍首相の言う「景気の好循環」どころでなくなる可能性が大きい。ましていま勤労者の3人に1人は非正規雇用であり、また団塊の世代は多くが年金生活者になってきた。「物価は上がる、収入は減る」という人たちである。こうした事を考えると、少なくとも勤労者の実質賃金アップなくして「アベノミクス効果」が本当に広くいきわたることはないと思う。いよいよ来月から労使交渉が本格化する。労使当事者のご苦労が察せられる。しかしここは日本のためにお互い知恵を出し合い徹底した論議を期待したい。