通常国会は先月20日に静かに閉会した。「国会やってたの?」という印象である。そもそもマスコミ報道は安倍政権、政府に関することばかりが目立った。国民の代表、国権の最高機関である国会はどこへ行ったのか!まるで存在感がなかった。安倍政権の下請け機関のようであったというのが私の印象である。
極めつけは「集団的自衛権行使容認」の閣議決定に向けての展開である。このテーマの重大性、重さから言ってじっくりそれこそ1~2年位かけ国民的議論を積み重ねるべき課題であると思っていた。
ところが、総理が7回の会合をへた安保法制懇の報告書を受け取ったわずか3時間後にあのパネルまで用意し、記者会見したのが5月15日。わずかまだ1か月半前のことである。その後は一気に与党協議である。しかも与党、自民党と公明党の代表者わずか数名ずつによる非公開つまり密室協議が進められた。それもいつの間にか閣議決定の政府案の議論にすりかわっていった。しかも文言の表現のやりとりとしか思えない展開である。この間、国会論議はなし!
実は、通常国会で議員歳費2割カットがすんなり廃止され、もとの水準に5月から戻った時に、私は今の国会の危うさを感じた。「議員定数削減なくして増税なし」も消費税アップの3党合意である。しかも議員定数削減は昨年の通常国会までに決着するとの合意であった。その定数削減が実現するはずとの前提で歳費カットは今年の4月までとしたのである。ところが定数削減は実現するどころか見通しすら立っていない。にもかかわらず消費増税はスタートしたのに議員歳費だけはアップ!
「この体たらくは何だ!」憤りと国会の矜持のなさに愕然とした。これこそ「嘘つき」そのものである。まして国民生活の厳しさに思いを馳せれば歳費2割カット維持は議員として無条件で至極当然の事である。ところがすんなりもとの水準に2割アップしたのをみて、国民から大きく乖離した国会だと感じた。案の定である。国民を置き去りにしても何の痛みを感じない政治を見せつけられているように思う。