今年の春闘結果が労使双方から発表された。
まず、経団連の結果(大手企業)は定昇込み2.28%(7370円)である。
一方、連合の結果は全体として2.07%(5928円)、規模別にみると300人以上の企業2.12%(6217円)300人未満の企業で1.76%(4197円)である。
マスコミは15年振りに2%を上回った春闘などと一定の評価をする記事が多い。しかし、経団連発表の大企業の賃上げは定昇込みでも2.28%で5月の消費者物価上昇率3.4%(前年同月比)アップを大きく下回る水準である。また、非正規労働者の賃上げ状況は時給で昨年比1.27円上がって900.70円とこれ又依然として厳しい水準である。まして発表された全ての賃上げ率は定昇込みである。ということは純粋の賃上げであるベースアップ(BU)は0.3%程度であり物価上昇率をそれこそ大きく下回る水準である。一方この3月期決算企業(東証一部上場)の配当総額は7兆6000億円で前年比何と18.9%増加し過去最高額となった。役員報酬も増やす企業が相次いでいる。「いざなみ景気」といわれた2002年~2008年の史上最長の景気拡大期にもてはやされ、結局は実現しなかったトリクルダウン理論を思い出させる。今春闘の結果からすると今年は個人消費拡大による好循環の景気回復にはつながらないのではないかと思う。経済の好循環を実現する為に来年こそは物価上昇率を上回る実質賃金の向上が求められる。
先週、4年振りに財団法人若い根っこの会の役員会に出席した。
私は20年以上この会の役員をしており現在も評議員である。久し振りに出席したのは理事長の加藤日出男会長が3年前に体調を崩されたと聞き会長にどうしてもお会いしたかったからである。お元気で一安心した。
私と加藤会長とはもう30年来のお付き合いである。昭和34年からスタートした若い根っこの会は加藤会長自身が一人ではじめられた活動である。
昭和30年~40年代、まさしく「三丁目の夕日」の時代、集団就職で都会にでてきて住み込みで働く地方出身の若者達の集いの場、友達作りの運動としてスタートしたのである。
「美しい花を見て根っこを思う人は少ない。根っこを張って頑張ろう」という根っこ運動にかけた加藤会長のほとばしる情熱や思いに共鳴し長いことお付き合いをしてきた。お会いするといつも握手しながら「やぁーやぁ、城島さん!元気ですか」が合言葉である。そして加藤会長の友達を作るには自分から近づいていかなければ待っていても友達はできないという意味の「近づかなければ近づけない」という言葉も印象深い。今年で85才になられる。その消えることない情熱に改め心をうたれた。一日も早く又あの熱のこもった加藤節を聞きたいと思った。
加藤日出男会長と