「若い根っこの会創立55周年の加藤日出男会長をはげます会」が開かれた。
私も若い根っこの会の評議員を長くお引受けしており、今回のはげます会の発起人の一人となっていた。
会場は加藤さんを日頃から尊敬し応援する人でいっぱいであった。
若い根っこの会は加藤さんが昭和28年に「美しい花をみて根っこを思う人は少ない」と提唱し、このことを精神的基盤とした青年運動として出発したものである。
加藤さん23才の大学卒業したその春であった。
そして高度成長の時代に入ると中学や高校を卒業したばかりの十代の若者が農村から都市へと次々と就職していった。
そして多くの若者は中小零細企業の住み込みや工場の寄宿舎住まいで、低賃金で厳しい労働環境、そして何より生まれ故郷との環境の激変で孤独に苦しんだ。
加藤さんはこうした若者に「根っこのように強く美しく生きよう。そして今は根っこを張る時期、お互いに頑張ろう」と呼びかけ、全国に「若い根っこの会」を立ち上げ、昭和36年には川越市に「根っこの家」を建設するなど、その運動は全国の若者の心を捉え大きく発展していった。
しかし今その「根っこの家」が存続の危機にある。
加藤さんがたった一人で始めた青年運動の灯を何としてもともしつづけたいと思う人達のカンパが続いている。
それにしても当日の加藤さんの挨拶は一段と熱のこもったものであった。
その挨拶の中で「今の日本はマネーと便利さを追いかけているうちに、政治も経済も社会も文化も「いのちさえ」もみな軽くなってしまった。軸足が己の安心と利益にかかりすぎ。この国の未来に何が奉仕できるか。特にその志の軽さを政治にみる。この軽すぎる潮流に耐えられない」と強く訴えられた。
加藤さんの心の叫びを全くその通りだなと思った。
そして加藤さんがあの「ちゃぶ台」を囲んだ家族団欒が育てた、創造的日本の美学をもう一度創りたいという訴えにも心から共鳴した。
加藤会長、78歳。
まさしく生涯青春である。