「戦後最長の景気回復」が終わったという。
2002年から約6年間近くも景気が良かったのだと政府はいうのだが・・・
しかし「景気が良かった」と実感していた人は一体どれ位いるのだろうか。
そもそもこの間、勤労者の所得は減少しつづけ、労働分配率は低下する一方であったし現在も低下しつづけているのではないだろうか。
しかも正社員は減少する一方で非正社員はこの10年間で約600万人も増え、今や勤労者の3人に1人までになってしまった。自殺者も10年連続3万人を上回るという日本社会。
これで「戦後最長の景気回復」と何故いえるのだろうか。景気が良いのに賃金が下がり正社員は減らされ、非正社員は増えるという社会が一体どこにあるのだろうか。
ではこの好景気の恩恵を享受した人は誰なのか。統計からすると企業の役員と株主ということになる。即ち、企業の役員報酬は増え、株主への配当も増えているのである。
ということは、この景気回復は賃金が安くて不安定な雇用で働く人を増やし、正社員を減らすという人件費削減による効果が大きかったということである。
その上にその利益は、ほんの一握りの人たちへ還元されたのである。
これでは多くの国民が「景気が良かった」などと実感できるはずはない。
それどころか格差は拡大するばかりである。やはりヨーロッパを中心とした、いわゆる先進国での働き方のグローバルスタンダードである、雇用形態が異なっても同じ価値の仕事なら同じ賃金という「同一価値労働同一賃金」の確立がどうしても必要である。
また同時にこの「同一価値労働同一賃金」の確立は「働くことの誇り」と「労働の尊厳」の基本であり、「労働は商品ではない」ことの証である。
こうした日本社会にしない限り、我国は真に豊かな国とはいえないと思う。