昨日8月10日「社会保障と税の一体改革法案」が成立した。
野田総理が「政治生命を懸ける」として「今国会中の成立を目指す」という発言通りとなった。
参議院の与野党逆転のネジレを考えると国民負担を求めるこの法案は成立そのものも考えられなかった。
まして今国会での成立はほぼ不可能に近いというのが多くの人の共通した認識であったと思う。
率直に言って私もどうやって成立させるか当初は明確な展望は描けていなかった。
ただはっきりしていたことは自民党、そしてできれば公明党の賛成を取り付けることなしには成立しないということであった。
私はただひたすら国対委員長として、そのことを実現させることを基本方針としてきた。
今思えば6月15日の政府民主三役会議で自民党との二党間での合意を図るのか、あくまでも公明党を入れた三党での合意を目指すのかの論議で、三党合意を目指すという方針を決めたのが大きなことであったと思う。
この三党合意に私は強くこだわった。
それはこの「社会保障と税」という、とりわけ消費税の増税という極めて重い政策課題は長年政権を担ってきた自民、公明両党と共に背負っていくことが何よりも重要だと思っていたからである。
厳しい現実から逃げずに長期的視点で国家国民のために決断できる政党がスクラムを組む以外にないと思ったからだ。
ただここ数日間の自民党の対応、即ち「解散の時期を明確にしなければ三党合意を破棄して内閣不信任案を提出する」という露骨なまでの政局一辺倒には驚くと同時に、私自身は肚をくくった。
この様なとてものめない要求にはどんなことがあっても応ずるべきではないという信念は全く微動だにしなかった。
番記者に「急に何かすっきりした顔ですね!」「自民党と話でもついたんですか?」という質問を受ける程であった。
即ち、この局面では私には迷いはなかった。王道を行くしかない。
「結果は天のみぞ知る」という心境であった。同時に野田総理の心境を思いやった。
それにしても改めて公明党が加わった三党合意、即ち公明党の存在が最後の局面で大きな影響を与えたと思う。
三党合意が守られ法案が成立した歴史的意義は極めて大きいと思う。