藤井裕久先生の叙勲受章を祝う会が地元の相模原市で開かれた。大蔵大臣二回、財務大臣一回を務められた政界の大先輩である。私にとっては特に財務大臣としての先輩でもある。海江田代表、大畠幹事長、川端元総務大臣更に菅元総理夫人の菅伸子さんも駆けつけ「菅直人は今日はお遍路の最後の旅に出ていてます。」と挨拶されていた。大勢の地元の人達が出席した和やかな会であった。
昨日発表された昨年の民間企業で働く人の平均給与は二年連続で減少した。ピークだった1997年の467万円に比べ何と59万円も少ない408万円であった。またさらに問題なのは、正規雇用者の平均給与468万円に対し非正規雇用者は平均168万円と300万円もの大きな開きがあったことである。しかも200万円を大きく下回る厳しい実態である。。その一方でこれまた最近の発表では企業の内部留保は引き続き増額の一途である。私は突き詰めればこの事が日本経済の弱さとデフレの最大の原因であると思っている。売上げが伸びない中、人件費削減を中心としたコストカットにより利益を確保するため正規雇用者を削減し、賃金水準の低い非正規雇用者を増やす雇用政策の結果、家計の所得が減少しデフレ圧力となり経済成長の低迷に繋がっていると思う。いまアベノミクスで景気は回復との政府判断であるが、その一方で私が国会論戦で戦った10年前と全く同様に「雇用の規制緩和」のうたい文句で、「解雇しやすい雇用法制を」など使用者にとっては「使い勝手のよい雇用」を目指そうとしている安倍政権の雇用政策が現実になれば、景気は低迷し格差は更に拡大し社会は不安定化するものと思う。
デフレ脱却の鍵は「賃金」だとして政府は何とか来年の賃上げに期待を促す法人税減税要件緩和に加え、復興特別法人税廃止前倒しを打ち出しているがこの復興財源確保のため国民全体で支えあおうと所得税、住民税も増税しているのに法人税だけは増税分廃止前倒しには、全く理解できない。国民生活より企業優遇そのものである。
あえて賃上げについて言えば、そもそも今日までの長いデフレの期間、ほぼ15年近く賃上げ(ベースアップ)はほとんど行われてこなかった。せいぜい定昇のみであった。しかしながら物価も下がっていたため全体的には実質賃金は何とか維持できてきた。しかし来春闘で政府が「デフレ脱却のための賃上げを」といった賃上げとは、実質賃金のアップが最低限の水準である。四月からの消費税増税に加え円安、原料高による家計直撃の物価上昇が間違いないとすると、来春闘水準は、「定昇+物価上昇率+アルファー」でなければならないのは自明の理である。さらに課題は今や全雇用者の約40%、1881万人に上る非正規雇用者の低賃金の水準アップなしには本格的景気回復などとてもじゃないが難しい。こうした人々の実態を無視した政策は社会の混乱と不安定化をまねくだけだと思う。結局、国民のためのデフレ脱却、景気回復には安定した雇用を増やし家計を潤し豊かな中間層をつくることが王道でありそこに政治は全力投球すべきだと思う。